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精油の成分の中で、どのような構成になっているのか、その中の有効成分やどの程度の毒性があるのかということに関しては、最近かなり研究が進んでいるといえます。しかし、精油の成分は非常に複雑になっていますので、具体的にそれぞれの成分が体内でどのように作用をしているのか、まだ完全には把握されていません。では、伝統的な植物療法の中では、精油にはどのような効果があったというように推測されていたのでしょうか。
芳香成分が身体へと取り込まれ、そこから血液に至るまでには、どのようなルートが考えられるでしょうか。身体に吸収された成分は、最終的には肝臓や腎臓に至り、尿として体外へ排出されることになります。
身体へ取り込まれる経路としては、次のような4つのものが考えられるでしょう。
まずボディトリートメントなどの素材から、皮膚から取り込まれ真皮の毛細血管へと入り込む経路です。
次に、呼吸をすることで鼻から喉へ、そして気管支や肺までの粘膜にある、血管へと取り込まれる経路です。
また、呼吸による細胞内でのガス交換が行われるときに、酸素と一緒に血液に含まれることになる経路もあります。
そして、口を経由して、小腸へと至り、消化管から体内へと吸収されていく経路になります。
皮膚は何層にも重なった構造になっていますので、皮膚に吸収された芳香物質がすぐにでも血管に到達をするというわけではありません。そのスピードは非常に緩慢なものになっています。呼吸器から体内へと吸収をしていく場合には、皮膚からの吸収よりもスピードは早くなります。しかし、呼吸からの場合には摂取できる量が少ないという点があります。それに対して消化管から体内へ吸収されていく場合の経路では、非常に素早く吸収されることになり、そして量も多いという特徴があります。しかし、消化管の粘膜にはその際刺激が強く与えられるということが予想されます。精油を経口で摂取するということには、それだけの危険性が伴うということになるのです。ですので、専門的な知識を持った医師の相談を受けながら使用をするようにしてください。
精油が蒸発した場合、その香りの小さな分子は鼻が感知をすることになります。嗅覚的な刺激は大脳辺縁系に至ります。この嗅覚をつかさどる脳の部位というのが、脳の中で本能的な部分とされている旧皮質の中にあるということが重要なのです。脳は、嗅覚刺激を受けることで無意識に視床下部に働きかけることになります。視床下部というのは、人体の中で体機能の調整を行っている中心の部分でもあります。つまり、匂いや香りといったものは、本能的に体の様々な器官への反応を連鎖させる最初の部分でもあるのです。
精油の香りを嗅ぐことで、安心感や快感、緊張感や覚醒感などを得ることができますが、それによって精神面などの安定も得ることができ、バランスを保つことができるのです。
アロマテラピーでは、精油がすべての効能の主役ということになりますが、身体に影響をするためには大きく分けて二つのルートがあります。
まず一つは、嗅覚から体内へと摂取されていくルートになり、もうひとつは皮膚や粘膜を経由することで摂取されていくというルートです。ですが、精油には経口毒性があるという性質があり、非常に多くの有機物が混合されているものであるために、正確にどの成分がどのような効果をもたらしたかを判断することは難しいといえます。
精油を蒸留するための方法としては、江戸時代に日本に伝わり、蘭医学などでは実際に用いられていました。そして明治時代、ニホンハッカなどの精油を抽出し、それを輸出しているという時代もありました。ですが、最終的には合成香料などが登場することで、精油自体は衰退をしてしまうことになります。
1970年代には、小学生とその親を中心にポプリが注目されるようになり、ドライハーブが流行するようになります。しかし、正式にアロマテラピーというものが紹介されることになったのは、198年代なってからになります。ジャン・バルネやロバート・ティスランドといったイギリスやフランスの専門書が、高山林太郎によって翻訳されることで広まったといえます。1990年代になると、エステがブームになり、それにあわせてアロマテラピーも流行をするようになります。
日本に伝わっているアロマテラピーとしては、イギリス系に非常に近いものであるとされています。最近では、日本国内でも精油が科学的に研究されるようになり、医療関係者もアロマテラピーに注目をするようになりました。
2006年ごろになると、本物のバラ精油のような香りを再現することに成功した、バラ精油よりもかなり安い値段の合成香料などが生まれるようになりました。それは、ガムやドロップなどに添加されるようにもなり、広まっていくようになりました。それにより、アロマや香りといったものへの注目が集まったことになるでしょう。
精油を人間の心身に役立てようとする研究は、20世紀の初頭から始められたものでした。それは、科学的に分析や検証を繰り返すことで実現しようと試みられたものです。南フランスのプロバンス地方の中に、ルネ・モーリス・ガットフォセという香料の研究者が、実験中にやけどを負ってしまった際、近くにあったラベンダーの精油に手を浸したといいます。すると、キズが素早く治るようになり、精油に力があるということに気付いたのだといいます。それから精油の医療としての利用を研究するようになり、1928年には研究成果を学会で発表しました。そして、彼は芳香療法、つまりアロマテラピーという題の本を出版したのです。
フランスのジャン・バルネという医学博士は、精油を用いた医療を実践することで様々な功績を残しました。そして、1964年には「ジャン・バルネ博士の植物=芳香療法」という本を出版しています。そこで、アロマテラピーというものの認知度が一気に高まったといえます。また、ガットフォセにはマルグリット・モーリーという弟子がいましたが、彼はアロマテラピーを美容方面で利用できるものだとして研究をし、その技術をイギリスへと伝えました。
こういった理由から、現在に伝わっているアロマテラピーは、フランス系とイギリス系という二つの分類をすることが可能になります。フランス系のアロマテラピーの場合には、医師の指導のもとで精油を用いるなどの、医療分野での利用が主なものになっています。それに対してイギリス系のアロマテラピーは、専門家によって施される、医療行為とは別種の効果をもたらされるものになっています。これにより、スキンケア効果や精神のリラックスなどを行うことができます。
人間は、世界のいたるところで植物を生活に役立ててきていました。例えば祭祀や、儀式や治療、美容といった面でも、植物は役立てることができたのです。エジプトの中では、ミイラつくりをするために防腐効果を持つ植物由来の香料を頻繁に用いていました。それだけでなく、芳香植物を使うということは全世界のそれぞれの地域で、独自の進化を遂げてきた分野でもあるのです。近代医学が発達してからは衰退することになりますが、それでまでは人間の健康に大いに役立てられていました。今でも、そういったものは伝統医学、民間療法といった考え方で伝えられています。
中世ヨーロッパの中では、芳香植物を栽培すること、利用することは修道院の仕事ということになっていました。水やアルコールに漬けることで、植物の成分を抽出して利用していたといいます。それに対してイスラム地域では、アラビア医学の発達により、イブン・シーナーによる精油の抽出法が確立されることになりました。これも、医学へと有効活用されていくことになりました。これが、現在でのアロマテラピーの原型にもなっているものだとされています。発達したアラビア医学は、十字軍の遠征によって触れられ、それをきっかけにヨーロッパへと伝わっていきます。
そして、ルネサンスの時代には香水が人々に流行をすることになります。それにあわせて、精油の生産が大流行し、19世紀には合成香料なども用いられるようになりました。植物の中から有効成分を抽出し、薬剤として用いることも行われていました。
古代から、人間は芳香植物をアロマテラピーに役立ててきました。しかし、アロマテラピーという呼び方自体は20世紀になってから生まれることになりました。日本にこの考え方が伝わってきたのは、1980年以降になります。
20世紀になってから、フランスの科学者であるルネ・モーリス・ガットフォセによってこのアロマテラピーという言葉がつくられることになりました。これは、芳香を意味するアロマ、療法を意味するテラピーを組み合わせた、造語ということになります。これはフランス語であるため、英語で発音をするとアロマセラピーになります。アロマトテラピーという言い方も、芳香療法、という意味で正しい呼び方になります。